はてなブログでは、はてなブログの有料ユーザー(Pro, Business, for Devblog)を対象として、新しく記事本文末尾のデザイン設定(以下 記事本文末尾枠)を利用可能になりました。この設定により、ユーザーが記事本文末尾に自由に要素を置けるようになります。
この枠はより多くの人にブログが読まれるために有益な場所です。この枠の価値と活用方法についてSEOの専門家、辻正浩さん(id:t-w-o)の寄稿で解説します。
SEO専門家の辻正浩です。
私は十数年、はてなブログなどのWebサービスや企業サイトのSEOをサポートをしています。様々なタイプのWebサイトをより多く検索されるための改善を行い続けていますが、記事を中心としたWebサイトの改善で最も重要なことの一つとして優先的に取り組むのは「記事直下動線」です。
記事本文が終わった直後、ソーシャルボタンや関連記事などが表示される前に置く情報。そこはブログを読みに来てくださった方により多くの記事を読んでいただくために、そして検索エンジンを経由してより多くの人にブログを読んでいただくためにとても重要です。
この寄稿では、どうして記事本文末尾枠が重要なのか、そしてどのように活用するべきかをご紹介します。
SEOで重要な記事直下動線
10年ほど前までのSEOは「どのようなタグを使うか」「どのように内部リンクを集中するか」といった技術的な要件がとても重要でしたが、時代は変わりました。
特に個人ブログでは最低限の技術的な問題が解決されていれば、あとは「記事やブログをどれだけ多くの人に、どれだけ強く好んでもらえるか」がSEOとして最重要になっています。
はてなブログでは、SEO観点での「最低限の技術的な問題」の解決はもちろん、多くの方が利用するブログサービスとして行える最大限の技術上のSEOを済ませています。ですので、あとはより多くの人に好まれる記事・ブログを作る、ということに注力することで検索流入も得られるようになります。
そのために最も重要な事は良い記事を書くことです。より多くの、より価値ある記事を書いて、多くの人に最後まで読んでもらえてファンになってもらえる記事や、ニーズがあってわかりやすい記事を書き続けることに注力していれば、検索エンジンも必ず高く評価するようになります。
ただ、自分の書いた記事は少しでも多くの人に読んでもらいたいもの。検索エンジンから自分のブログが少しでも早く評価されて欲しいと思う気持ちは当然のことです。
「良い記事を書く」以外に検索されるようになるためには、ブログにやってきた人に下記のようなことをしてもらうことが有効です。
- いま読んだ良い記事が自分のブログと気付いてもらい、定期的な訪問につなげる
- 一記事読んで終わりではなく、ブログを回遊してもらい魅力ある過去記事に一秒でも多く触れてもらう
- 読んだ記事をはてなブックマークやTwitterなどで紹介したいと思ってもらう
- 特に見せたいページがあれば、そのページに誘導して見てもらう
このような「訪問者にしてもらいたいことを伝える」には、どうすれば良いでしょうか?
一番の方法は記事の中で伝える事ですが、記事を書く際に毎回考えて行い続けるのは難しいことでしょう。記事以外の枠でそれを伝えられるような場所を持つことが効率的です。
しかしここ数年、特にスマートフォンから記事を読まれる方は、記事を読み終わるとすぐに離脱する傾向が強まり続けています。多くのブログでは、記事が終わるとソーシャルボタンや関連記事などが表示されていますが、多くの人は記事本文が終わるとすぐにブログから離れています。おそらくあなたも、スマホで記事を読み終えてソーシャルボタンが現れて記事が終わったと気づくと、すぐにブログを離れる場合がほとんどではないでしょうか。
そのような多くの方に記事プラスアルファで情報を伝えるためには、記事が終わった直後に伝えることが効果的です。
はてなブログProではこのような目的のために、もともと「記事下」として情報を追加できる枠がありました。ただそれはソーシャルボタンやタグなどいくつかのパーツの下に表示される枠です。今回新設された記事本文末尾枠は記事本文直下にある枠となります。
ここに記載された情報は記事本文の次に多くの方に伝わることになります。この枠を活用して記事を読んでくださった方が「もう1記事読んでみたい」「このブログにまた来てみたい」と思ってもらえるようにできれば、それはSEOにもつながります。
アクセス解析でわかる記事直下の大切さ
記事本文末尾枠が大切と考えているのは、SEO専門家だけではありません。アクセス解析の専門家として名高いHappy Analyticsの小川卓さんも週刊はてなブログに寄稿された記事「ブログを最後まで読んでもらい、さらに回遊してもらうための5つのTIPS」の中でこのように説明しています。
TIPS5: 記事の最後に最も重要なリンクを1つだけ入れる
一番効果が高いのはどのTIPSか? と聞かれたら、筆者は今から紹介するこのTIPS5を挙げます。テーマは「関連記事」について。ここで大切なポイントは2つあります。1つは「記事の直後」であるということ、そしてもう1つが「1つだけ入れる」ということです。
この記事では「記事直下に一つだけリンクを加える事で、直帰率が85.14%から72.22%に改善」「複数の記事を並べた状態から画像付きの記事リンクを一つだけにした所、クリック率が8倍に」など、事例とともに紹介されています。
私も非常に多くのサイトで同様の成果を見てきました。記事直下に置く情報は明らかに多くの人に見られます。
なお、大手メディアでは記事直下に特定の情報を配置する方法を取りづらいことが多いです。毎日多くの記事が公開され、関わる人も多い大手メディアでは、1つの情報に絞って掲載し続けることは難しいものです。また「記事本文の次に見られる場所」は奪い合いになるため、なかなか変更も行えません。しかし個人ブログの場合は行えるはずです。これは大手メディアには難しい、個人ブログに向いた有効な手法といえるでしょう。
活用するためのポイント3点
ここまでの通り、今回の記事本文末尾枠は非常に有益です。ただ、この枠を使うと必ず成果につながるわけではありません。はてなブログでより多くの人に読んでもらうために注意していただきたいポイントをご説明します。
記事の一部分として、メッセージを伝えるようにしましょう
この枠のポイントは、記事を読み終わった人が離脱する前に見せることです。記事が終わってソーシャルボタンなどが現れると去ってしまう人が多いことはこれまでも説明しましたが、もしこの枠の先頭が記事が終わったと一目で分かる状態でしたら、ソーシャルボタン同様にそれより下が見られなくなります。
あまり特別なデザインにすることは考えずに、記事と同じ見出し・記事と同じ表現とされることをおすすめします。
目的は一つだけにしましょう
見てもらいたい記事が沢山あるからといって、記事をずらっと並べることはおすすめできません。また、おすすめ記事の紹介、Twitterアカウントの紹介、読者登録などと様々な要素を並べてしまうこともおすすめしません。
選択肢を多く並べると、結局一つも選択しないまま離脱する人が多くなります。できれば一つの目標、どうしても多く乗せたい場合でも少数に絞ることを考えましょう。
適切な内容を選びましょう
この枠に表示される部分は、記事本文の次に読まれる場所になります。多くの人の目に入る場所です。内容は吟味しましょう。
具体的には、実際の設定例をヘルプページで説明しています。「自己紹介したい・フォローしてもらいたい」「記事のブックマーク・シェアをしてもらいたい」「おすすめ記事を紹介したい・特定ページを見せたい」といった目的に応じたサンプルも掲載しています。
ヘルプで紹介している使用方法以外にも、ユーザ広告を置く場所としてもこの枠は適切です。より多くの人に読んでもらえるという利点は生まれませんが、広告の成果はプラスになるはずです。
今回、記事本文末尾が枠になったことで、全ページの記事本文末尾を一括で変更出来るようになりましたので、気軽にいろいろなパターンを試すこともできます。ぜひあなたのブログにとって適切な内容を試してみてください。
記事本文末尾枠をご活用ください。
今回の新機能は、SEOに詳しい方やアクセス解析にこだわる人にとっては、説明の必要も無い待望の機能と思います。きっといろいろと設定したい内容が思い浮かんでいるのではないでしょうか。ぜひお試しください。
また、あまりお詳しくない方でも設定できるように、コピー&ペーストだけで良い記事直下にできるようにサンプルも複数ご用意しています。
より多く自分の書いた記事を読んでもらいたい、そう思う方にとって今回の新機能はとても有効なものです。ぜひご活用ください。